食いしばりを改善したら小顔になれる?原因や具体的な対策など解説
食いしばりが習慣化すると、歯や顎に大きな負担がかかるだけでなく、エラが発達して顔の輪郭が大きく見えてしまうことがあります。では、食いしばりを改善したら小顔になれるのでしょうか?今回は、食いしばりの原因や対策法、食いしばりの改善による小顔効果について解説していきます。
食いしばりの原因
食いしばりの原因は人によってさまざまです。ここでは、おもな原因を紹介していきますので、心当たりがないかチェックしてみてください。
ストレス・緊張
食いしばりの原因として多いのが、ストレスや緊張です。職場や学校で強いストレスを受けたり、心配事や不安なことがあったりすると、無意識に歯を食いしばることがあります。
強いストレスを受けると交感神経が優位になり、口腔周囲の筋肉も緊張しやすくなっています。そのため、無意識に歯をギュッと強く噛みしめてしまうのです。また、ストレスを解消するための身体の反応として食いしばりが起こるとも考えられています。
精神的な要因で歯を食いしばっている場合、眠っている間にも歯を強く噛みしめていることがあります。睡眠中の食いしばりは食べ物を噛むときの約3倍以上の力がかかっているといわれ、起床時の歯や顎の痛み・頭痛・筋肉痛などを引き起こします。
習慣
趣味や勉強、仕事などに集中しているときの癖として、食いしばりが習慣化しているケースもあります。たとえばゲームやスマートフォン、パソコンなどに夢中になっているとき、無意識に歯を食いしばっている方が多いようです。そのほか、スポーツ選手や力仕事をしている方など、瞬発的に強い力を発揮する機会が多いと食いしばりが習慣化しやすくなります。
食いしばりは歯ぎしりと違ってギリギリといった音も出ないため、周囲の人に気づかれにくく、自分で自覚する人も少ない傾向があります。そのため、歯科医院やエステなどで指摘されて初めて気づくケースも多いですが、放っておくと身体に大きな負担がかかるため注意が必要です。
合わない枕の使用
就寝中は、深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を交互に繰り返しています。寝ている間の食いしばりは、眠りが浅いレム睡眠中に起こることが多いです。
合わない枕を使用すると、睡眠の質が低下して眠りが浅くなり、レム睡眠の割合が増加することがあります。その結果、食いしばりが起こりやすくなってしまうのです。
就寝前のカフェインの摂取や飲酒・喫煙・運動不足などは、睡眠の質を下げる原因となるため注意が必要です。また、デジタル機器が発する光の刺激も睡眠障害を引き起こしやすくなるため、就寝2時間前はスマホ・パソコンを見ないようにしましょう。
噛み合わせ
噛み合わせが悪いと食いしばりを引き起こすことがあります。全体的な噛み合わせが悪かったり、詰め物やかぶせ物の高さが合っていなかったりすると、特定の部分だけに強い力がかかってしまいます。このような状態だとしっかり噛むことができないため、強く噛もうとして食いしばりが起こるのです。
食いしばりによって起こる症状
食いしばりを放置すると、歯や顎に大きな負担がかかるだけでなく、全身の健康や美容面に悪影響を及ぼすこともあります。ここでは、食いしばりによって起こるおもな症状について解説していきます。
エラ張り
フェイスラインは、表情筋の使い方によって大きく変わります。頬骨やエラの周辺には咬筋(こうきん)という筋肉があり、食事や会話、あくびをするときなどによく使われます。日常生活では咬筋が過剰に発達することはありませんが、食いしばりが習慣化すると咬筋が大きくなり、エラの張りにつながってしまうのです。
ほうれい線の悪化
ほうれい線の原因は加齢によるたるみや乾燥、表情筋の衰えなど多岐にわたりますが、食いしばりが関係していることもあります。長期間の食いしばりによって歯が削れて短くなると、噛み合わせも低くなります。食いしばりで歯が削られて小さくなると周辺を覆っている皮膚がたるんでしまい、顔にしわができたりほうれい線が深くなったりすることがあるのです。
ただし、食いしばりが習慣化しているからといって、必ずしもほうれい線が悪化するとは限りません。顔の形や歯列などによって、ほうれい線ができやすい人・できにくい人がいます。
頭痛・肩こり
食いしばりをすることにより、顎を動かす筋肉である「側頭筋」が緊張して頭痛につながることがあります。噛むときに使う筋肉である「咬筋」は、肩や首の筋肉にもつながっています。そのため、歯を強く食いしばると肩や首の筋肉にも負荷がかかり、肩や首のコリを引き起こすことがあります。
歯並びの悪化
奥歯をグッと強く噛む食いしばりは、歯列矯正よりも大きな力がかかり、上下の歯が擦り合うことで歯がすり減ります。また、食いしばりによって歯に強い力がかかると、歯を支えている骨(歯槽骨)にも負荷がかかり、歯が傾いたり動いたりすることがあります。その結果、噛み合わせだけでなく歯並びも悪くなってしまうのです。
顎関節症
歯を食いしばると顎に強い負荷がかかり、顎関節症(がくかんせつしょう)を引き起こすこともあります。顎関節症になると、口を開きにくくなったり、口の開閉時に痛みやカクカクとした音が出たりします。食いしばりによって歯や歯茎、顎の骨に大きな力が加わると、咀嚼の支点である顎の関節にも大きな負荷がかかり、顎関節症を引き起こしてしまうのです。
歯周病
歯周病とは、歯垢のなかにある細菌によって歯ぐきに炎症が起こり、歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。食いしばりで歯に大きな負荷がかかると、歯周組織が破壊され、歯周病の発症や悪化につながることがあります。歯周病になると歯ぐきの腫れや出血、口臭などの症状が現れ、最終的に歯が抜けてしまうこともあります。
食いしばりを改善したら小顔になれる?
食いしばりによって咬筋が過剰に発達すると、顔の輪郭が膨らんで顔全体が大きく見えてしまうことがあります。ひとつの目安として、上下の歯をギュッと噛み合わせたときに力こぶのような大きな膨らみが出る場合、咬筋が過剰に発達している可能性があるでしょう。ただし、咬筋を使う頻度が下がれば、筋肉の大きさがもとに戻ります。食いしばりを改善すればエラが小さくなり、小顔に近づく可能性があります。
歯科医院・美容クリニックで食いしばりを改善する方法
食いしばりは、放置すると健康面や美容面に悪影響を及ぼすことがあります。また、原因も人によって異なるため、早めに専門家へ相談することをおすすめします。ここでは、歯科医院や美容クリニックで食いしばりを改善する方法を紹介していきます。
噛み合わせの調整をする
噛み合わせが悪く高い部分や低い部分がある場合、歯科医院で噛み合わせを調整をすることで食いしばりの改善が期待できます。歯科医院での噛み合わせ治療では、歯を少し削って形や高さを整え、筋肉に無駄な力がかかることなく咀嚼できるように調整します。
なお、噛み合わせは加齢や虫歯、歯周病などによって少しずつ変化することがあります。定期的に歯科検診を受け、噛み合わせをチェックしてもらいましょう。
マウスピースを装着する
朝起きたときに顎の筋肉が疲れている場合、就寝中に食いしばりや歯ぎしりをしている可能性があります。就寝中の食いしばりは自分の意思で止められませんが、マウスピースをつけて眠ることで、歯や顎へのダメージを軽減することが可能です。
マウスピースには、負荷を分散させて歯や被せ物の破損を防いだり、筋肉や顎関節への負荷を軽くしたりする作用があります。また、マウスピースを装着することで歯の位置を固定できるため、食いしばりによる歯並びの悪化も防止できます。
マウスピースは大きくわけてソフトタイプ・ハードタイプの2種類があります。食いしばりが強い方は耐久性が高いハードタイプ、装着時の違和感や痛みを軽減したい方はソフトタイプがおすすめです。
歯列矯正をする
歯並びが悪いとバランス良く噛むことができないため、噛む力が必要以上に加わり食いしばりにつながることがあります。そのような場合、歯列矯正で噛み合わせを正しい位置に整えることで、歯・顎・口周辺の筋肉にバランス良く力がかかるようになり、食いしばりの改善が期待できます。
なお、歯列矯正には、ワイヤー矯正・裏側矯正・マウスピース矯正・セラミック矯正など、さまざまな種類があります。それぞれ適応症例や治療期間、費用などが異なるため、歯科医と相談しながら自分に合った治療方法を選びましょう。
咬筋ボトックス治療をする
歯科や美容クリニックでの咬筋ボトックス治療(エラボトックス)も、食いしばりの改善方法として有効です。ボトックス注射には、筋肉の動きを弱める作用があります。噛むときに使う咬筋周辺にボトックス注射を注射することで、筋肉の動きを抑えて食いしばりを改善できます。
また、咬筋ボトックスによって筋肉の過剰な動きが抑制されることで、エラ張りを改善する効果も期待できます。ボトックスの持続期間は3ヶ月~半年程度と永続的ではありませんが、効果が切れるタイミングで継続して打つことで、歯や顎にかかるダメージを軽減することが可能です。
自分で食いしばりを治すには?日常生活で簡単にできるケア方法
食いしばりには生活習慣が関係していることもあるため、自分でできる対処法もたくさんあります。ここでは、日常生活のなかでも簡単にできる食いしばりのケア方法を紹介していきます。
頬杖をつかない
頬杖をつくと、片方の顎関節だけで頭の重さを支えることになります。すると顎の位置がずれて骨や周囲の筋肉に負荷がかかり、噛み合わせが悪化してしまいます。噛み合わせが悪いと食いしばりが起こりやすくなるため、日頃から頬杖をつかないように意識しましょう。
キシリトール入りのガムを噛む
ガムを噛んでいるあいだは食いしばりができないため、予防対策としておすすめです。ガムを噛んで顎や顔の筋肉を使うことで、リラックス効果とストレス軽減にも期待できます。砂糖入りのガムは虫歯のリスクがあるため、甘味料としてキシリトールが配合されているガムがおすすめです。
ストレッチで筋肉をほぐす
舌が正常な位置よりも下がっていると、食いしばりが起こりやすくなります。ストレッチで舌の位置を改善しましょう。
<舌のストレッチ>
- 1.上を向いて舌を突き出した状態で5秒キープし、力を抜く(5回繰り返す)
- 2.上を向いて舌を突き出したまま、舌の根本を突き上げるように大きくゆっくり回す(5周)
- 3.反対周りも同じように、舌を大きくゆっくり動かす(5周)
マッサージでコリをほぐす
食いしばりの改善には、顎周辺の筋肉をリラックスさせるマッサージもおすすめです。
<咬筋のコリをほぐすマッサージ>
- 1.摩擦が気になる場合や肌が乾燥している場合は、マッサージ前にオイルやクリームを塗る
- 2.顎の裏に親指、コリを感じる顎の関節部分に残りの指を置き、小さな円を描くようにマッサージする。
- 3.しっかり力をいれ、30秒間ゆっくりおこなう
枕の高さを調整して寝姿勢を改善する
身体に合わない寝具を使うと、睡眠の質が低下して食いしばりが起こりやすくなります。特に、枕の位置が高すぎるとうつむいた状態になり、奥歯を噛みしめるような姿勢になってしまいます。
身体に負担をかけないためには、真っすぐ立ったときの姿勢をそのままキープできるような寝姿勢が理想です。横向きに寝る場合、頭・首の骨・背骨が一直線になるように枕の高さを調整しましょう。
日中の食いしばりは下顎安静位を意識する
「下顎安静位」を意識することで、日中の食いしばりを軽減できます。下顎安静位とは、安静にしているときの正しい顎の位置のことで、上下の歯の間に2~3mmの隙間が開いている状態をいいます。
下顎安静位でいることで筋肉がリラックスし、顎関節にかかる負担が小さくなります。しかし、集中しているときや緊張しているときは下顎安静位をキープするのが難しいため、まずはリラックスしているときに下顎安静位を意識することから始めましょう。
まとめ
食いしばりを放置すると、歯並びの悪化や顎関節症を引き起こすだけでなく、咬筋が発達してエラが張ったり、噛み合わせが低くなってシワができたりすることがあります。食いしばりを改善するためには、噛み合わせの調整やマウスピースを装着するほか、歯列矯正や咬筋ボトックス治療などが有効です。
食いしばりを改善することにより、咬筋の発達によるエラ張りを解消できる可能性があるため、スッキリとしたフェイスラインの小顔を目指すことができます。この記事を参考に、簡単にできる筋肉をほぐすストレッチやマッサージ、睡眠環境のチェックをおこなって歯や顎にかかる負担を軽減しましょう。